考えること
- 憲正 久松
- 6月13日
- 読了時間: 3分
更新日:6月16日
「土地」の上に建物が建ち、「建物」の中に人が住み、そこに「人」の生活が生まれます。
恵まれた環境ではそれを十分いかし、そうでないときはその難条件を克服し、その人や土地にあった建築をつくりたいと考えています。
設計にあたって考えることを人・建物・土地の3つの要素に分けて書き出してみました。
01 「人」のこと
[年齢]
家族は年がたつにつれてそのライフスタイルが変化していきます。今から5年後、10年後、20年後、30年後...に家族のライフスタイルがどう変化していくのか考えておく必要があります。それをふまえて、現在の生活を楽しく充実したものにするためにどのような建物を用意しておくか考える必要があります。
[続柄]
家族構成が二世帯や三世帯になる(あるいは将来そうなる)場合はプライバシーをどの程度とるのか見極めることが重要です。完全に分離して造るか?、風呂は一緒にするか?、食事は一緒にするか?、たまにみんなが集まれるスペースがあればいいか? ご主人の親か奥さんの親かによってもかわってきます。
[職業(学年)]
職業(学年)によって生活の様子(起床・就寝時間、帰宅時間、平日・休日のすごし方など)は人それぞれです。それぞれの生活がしやすい建物を考える必要があります。
[趣味、こだわり]
せっかく家を創るのですから、それぞれの趣味やこだわりをいかせるような家にしたいと思います。車いじり、つり、野球、ガーデニング、パン作り、あみもの、読書、音楽など...
02 「建物」のこと
[全体の雰囲気]
建物のデザインを決める要素としては、屋根・外壁・内装(床・壁・天井)等の材料や色、質感等があります。言葉で表すなら「シンプルな」とか「落ち着いた和の感じ」とか「自然素材で」等あると思います。
[構造・規模]
要望や土地の条件、法的制約などを考慮して適切な工法を選択していきます。
[予算・資金]
予算によってだいたいの規模や仕様が決まります。その場合、「予算が無いからあきらめる」部分もある意味必要ですが、むしろ「予算はないけどこれだけは実現させる」というようなところを見つけ出したいものです。
[必要な部屋]
どのくらいの広さのどんな部屋が必要かをよく考えなければいけません。それらを効率的な動線、使い勝手、プライバシー、通風、採光などさまざまな条件をクリアーしながら組み合わせていきます。
03 「土地」のこと
[形状・高低差など]
土地の形は長方形とはかぎらず変形していたり、高低差があったり、がけだったりすることがあります。一見建物が建ちにくそうにみえる土地でもその欠点を逆に利用した特徴のある個性的な建物にできる場合があります。(土地を買う人の場合、こういう土地は安く手に入ることが多いので、検討してみるのもよいのではないでしょうか。)
[道路]
道路が狭かったり、交通量が多かったりする場合は車や人の出入りがしやすく危険のないような工夫が必要です。また、いざという時の路上駐車ができないので、そのための対策を考えるのも必要だと思います。
[周辺の状況]
周りに建物が密集している場合は、当然、隣家とのプライバシーを守るのと同時に光の採り方と風通しの確保が重要です。逆に景色が良い場合は、その良さを活かした気持ちのいい空間造りが必要です。
[雰囲気]
その土地に立った時にこんな建物が建つべきなのでは...というような雰囲気のようなものがあります。このことを感じとれるように(ちょっと大げさですが)神経を研ぎ澄まして土地を見てます。